※掲載した写真とグラフのデータは、宮城県古川農業試験場にご提供いただきました。宮城県におけるダイズ栽培面積は北海道に次ぐ全国第2位で、作付け地もほぼ転作田となっています。昭和50年代中頃までは紫斑病抵抗性が強い品種「ミヤギシロメ」の作付けが多かったのですが、昭和品種「タンレイ」の作付けが増加し、ダイズ紫斑病(以下、紫斑病)の発生も増加してきました。近年の県内における発病状況は、発生が少ない年次では発病面積率1%程度ですが、多い年次では15%程度と差が大きくなっています。紫斑病の発生に影響を与える要因の一つとして収穫前の降雨や気温が挙げられています。宮城県ではダイズの収穫はだいたい10月下旬から11月になりますが、10下旬〜11月上旬に降雨となり適期に収穫できず収量・品質が低下するケースが散見され、その場合「タンレイ」での紫斑病発生が目立ちます。紫斑病は種子更新、抵抗性品種の利用、フロアブルとプランダ適期の播種・収穫等の耕種的防除と、薬剤による種子処理、子実肥大期の茎葉散布といった基本技術に取り組むことで十分被害を抑えることができます。現在、宮城県における紫斑病防除では、播種前の種子処理(主にクルーザーMAXXなど)と子実肥大期(開花20〜しています。特に紫斑病抵抗性の劣る「タ宮城県における紫斑病防除剤の耐性菌は、これまでベンゾイミダゾール系殺菌剤に対するものが確認されており、この系統の使用や同一剤の連用をさけ、作用機作の異なる剤を交え使用することを指導しています。アミスター20フロアブルとプランダム乳剤作用機作が異なることから、子実肥大期ンレイ」では、2回の茎葉剤散布をお願いしており、1回目の散布にはアミスター20フロアブルやプランダム乳剤25など防除効果の高い剤をおすすめしています。の茎葉散布が1回の場合はアミスター20ム乳剤25の2剤を隔年で使用し、茎葉散布が2回であれば交互にローテーション使用することも可能であると考えています。■宮城県での紫斑病防除スケジュール宮城県での紫斑病防除は、約9割が無人航空機によって行われており、防除スケジュールはほぼ固定されているため、生産者の望むタイミングでの防除に対応できないケースもあります。このような場合、ドローン散布技術が導入できれば、より生産者のニーズに沿った防除が可能になっていくのではないでしょうか。 86420 6543210 7紫斑病発生面積率(%)発病粒率(%)無処理C剤B剤A剤アミスター20フロアブル乳剤25プランダム収穫前の降雨などで 多発生傾向に種子処理と茎葉散布剤の 組み合わせを推奨 同系統、同一剤の連用は避けるドローンでよりニーズに 即した散布へ宮城県病害虫防除所発行植物防疫年報より作成令和元年度宮城県古川農業試験場内圃場試験上席主任研究員 宮野法近さん紫斑粒健全粒クルーザーMAXX耕起播種出芽生育期だいずとほうれんそうの病害虫発生被害と防除対策について、農業試験場の現場から最新の情報をお届けします。開花期子実肥大期収穫期25は同等の効果を確認しており、両剤の50年代後半から紫斑病抵抗性が〝中〟の 35日後)に1〜2回の茎葉散布剤を推奨殺菌剤殺菌剤子実肥大期に1〜2回、アミスター20フロアブルやプランダム乳剤25を散布1816141210H21H22H23H24H25H26H27H28H29H30R1年度処理薬剤種子処理剤播種前に、クルーザーMAXXなどの種子処理剤を使用宮城県古川農業試験場作物環境部病害制御チーム■宮城県におけるだいず作付け面積に対する 紫斑病発生面積割合■地上防除による紫斑病防除 試験結果アミスター20フロアブルプランダム乳剤25耕種的防除と薬剤防除の取り組みで、「ダイズ紫斑病」をしっかり予防。農 業試験場だより
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