茶 栽培面積1万7800haと、国内最大のお茶の栽培面積を誇る静岡県。昨年、そんなお茶の王国から注目の新商品が発売されました。それが、県内11JAのお茶をブレンドした「揉一(じゅういち)ひとえ」。日本の文化を感じさせる十二単をモチーフに、11のJAと〝揉む〟というお茶の製法を表現して名付けられたこの商品は、どのようにして生まれたのでしょう。日本茶インストラクターの資格を持つJA静岡経済連茶業課の加用智之さんに伺いました。 「静岡県はお茶の産地を持つJAが多いですが、各産地のブレンド茶はありそうでなかったんです。そこでJA静岡経済連では静岡県、JA静岡中央会、そして県内で仕上茶を生産する11JAとともに平成27年4月に静岡茶販路拡大協議会を結成し、静岡茶の販路拡大に向けた商品の開発に取り組みました。その第一弾が、11JAのお茶をブレンドした揉一ひとえなのです」。 各JAが管轄する地域のお茶を慎重に選び、試行錯誤を重ねながらブレンドしてできあがった揉一ひとえは、国内向けの「山育ち(煎茶)」と「里育ち(深蒸し茶)」、海外向けの「富士山そだち」の3種類。富士山そだちは緑茶を「渋くて飲みにくい」と感じる外国の方のために、渋みを抑えた鮮やかな色合いの商品を用意したのだとか。 100gで1500円の揉一ひとえは高級茶のカテゴリー。その理由を、加用さんは「お土産や贈答品として利用される高級茶が売れなくなっている昨今、そのカテゴリーを活性化したいという理由がひとつ。もうひとつは、〝静岡の最高のお茶を届けたい〟という強い想いです。品質に妥協しないことが、静岡茶のブランドを守ることになると考えています」。 その一方で、販路拡大を図るには身近な価格帯の商品が求められていることも実感しておられます。今後はティーバッグや粉末タイプの開発も視野に、購買層の裾野を広げていきたいとのこと。 現在、富士山そだちの販路は静岡空港や県内高速道路のサービスエリアが中心。また、山育ち・里育ちは主に全国の特産品を集めたJAタウンや通販カタログなどで紹介されています。「今後は首都圏の高級スーパーや百貨店への販路を開拓していきたいと考えています」と加用さん。 また、JA静岡経済連では揉一ひとえと並行し、平成27年5月からお茶のエキスを牛乳に混ぜて飲む「静岡茶ミルメーク」の開発に着手。県の学校給食会とともに開発されたこの商品は、今年から県内の学校給食に採用されています。これからも日本最大の茶産地静岡県の取り組みから目が離せません。静岡県静岡茶の活性化に向け「静岡茶販路拡大協議会」を結成静岡茶のブランドを守るため、あえて高級志向の商品に2016年3月作成(KF/YY)Ⓡはシンジェンタ社の登録商標道草みち子今回訪問したのは、全国のお茶のおよそ5割のシェアを誇る日本一の茶どころで、より環境に優しく効率的な生産指導を行うJA静岡経済連。県内11JAが一丸となった新商品について伺いました。静岡茶のさらなる販路拡大に、県が一丸となって取り組む左から、山育ち(煎茶)、里育ち(深蒸し茶)、海外向けの富士山そだちJA静岡経済連茶業課の加用智之さん(左)と弊社営業担当の岡野隆司(右)
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