H0491_みちくさプレス84号_
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北海道のこの地域では比農家もいますし、倒壊しないまでも私のように生育途中のトマトが房ごと落ちてしまい、減収に泣いた人がたくさんいます。また、灌水施設の井戸が壊れてしまい、水が必要な時期にもかかわらず水やりもできなくなってしまいました。さらには、停電のため選果場が4日間にわたって運営できなくなり、生き残ったトマトすら収穫できない状況に。流通も麻痺していたため、選果場のわずかなトマトでさえ出荷することができませんでした。そこに追い打ちをかけたのが灰色かび病や疫病などの病害です。ハウスが壊れた農家はその修復に手一杯で、無事だったハウスの防除にまで手が回らず病気が蔓延してしまったんです。──最初に、むかわ町におけるトマト栽培の歴史についてお聞かせください。高柳部会長 較的早く、約40年前から数軒の農家が栽培を始めました。私の父親もその一人です。しかし、当時は磨きから箱詰めまで手作業で行っていたため負担が大きく、私が就農した25年ほど前はまだ8軒ほどでした。その後、JAに選果機が導入されたことで生産者数が拡大し、現在は部会員も61軒にまで増え、道外からの新規就農者も増えてきています。──主にどのような品種を栽培しているのですか。高柳部会長 「りんか409」と「麗月」という品種が中心で、私もこの2つを合計24棟のハウスで栽培しています。とくにりんか409は栽培しやすく大きく立派なトマトになることから、新しくトマト栽培を始める農家の多かったこの町で一気に普及しました。あっさりとした食味で他の食材を邪魔しないことから、みなさんもよくご存知のハンバーガーチェーンにも採用されています。──より高品質なトマトづくりに向けて、工夫されていることはありますか。父親の代から守っているの高柳部会長 は、冬になったらハウスのビニールを下ろして土壌を雪で覆うことです。寒い北海道でも、ビニールをかけっぱなしにしてしまえば害虫が越冬してしまう。それを防ぐには雪が効果的なんです。春先に下ろしたビニールを引っ張り上げる作業は体にこたえますが、いい土壌を守るために毎年欠かさず行っています。──昨年の北海道胆振東部地震では、むかわ町の農業も大きな被害を受けたと伺っています。高柳部会長 ハウスが倒壊してしまったJAむかわの選果場。トマトの選別は手作業で行われるJAむかわトマト部会の高柳壮部会長(左)と同JA営農部蔬菜園芸課の阿部将太係長(右)収穫を待つ高柳さんのトマト。ほんのり赤く色づくと収穫適期9北海道の道央圏に位置し、南は太平洋に面するむかわ町は日照時間が長く冬も比較的温暖で、さまざまな作物が栽培されています。今回フォーカスするのは、約26haの栽培面積で年間約2670トンの収穫量(2017年度)を誇るJAむかわのトマト。昨年9月に発生した北海道胆振東部地震に屈することのないトマトへの情熱と、復興にとどまらないさらなる成長への想いを、同JAトマト部会の高柳壮部会長と同JA営農部蔬菜園芸課の阿部将太係長にお話を伺いました。北海道目目指指すすははトトママトトでで年年間間1010億億円円!!復復興興のの先先ののささららななるる成成長長をを見見据据ええ

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